MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2022年12月1日
更新日:2023年3月9日

角田市

地域の方の優しさに触れて/大泉 太貴彦さん

  • 農林水産業

大泉 太貴彦さん

宮城県南部に位置する角田市には、“宇宙航空研究開発機構(Jaxa)角田宇宙センター”があります。市の中心部にある台山公園には、H-2ロケットの実物大模型がそびえ立っており、「宇宙のまち」として宇宙を身近に感じることができます。
そんな角田市は、電機メーカーや自動車部品メーカーの製造業が盛んな地域ですが、古くから農業も盛んな地域で、道の駅や産地直売所には、米や大豆を始めとした新鮮な地場産食材が並んでいます。
近年は、”長ねぎ”の栽培にも力を入れており、島田地区では2016年から“ねぎまつり”を開催しPRも行っています。この“ねぎまつり”にも使用される“長ねぎ”の生産に携わっている大泉さんに、角田市への移住のきっかけや現在の生活について、職場である舘島田生産組合にお邪魔してお話をお伺いしました。

角田市で農業を

神奈川県の観光地・江ノ島が有名な藤沢市ご出身の大泉さん。高校を卒業後、東京の大学へ進学し、政治学科で学び始めます。
「大学生活を送る中で、友人が農業のアルバイトをしていた事がきっかけで農業に興味を持ちました。それから1年間ほどハウスで育てたトマトやほうれん草などの出荷、管理作業のアルバイトをしていました。」と話す大泉さんですが、大学卒業後は、法律を学んでいたことや、宅地建物取引士の資格を取得していたこともあり、農業とは関係のない不動産業に就職をされたそうです。

大泉さんは、東京で働く中でも農業をいつかやってみたいという思いは心の中にあったそうです。
そんな中、奥様と出会い、移住のきっかけが訪れました。
「東京で妻と結婚し、妻の出産を機に家族や子供の事を考え、妻の実家のある角田市なら安心できると思い、移住を考えました。角田市は以前訪れた時に農業が盛んなことを知っていたので、自分がやりたいと思っていた農業に携われることも決め手になり移住を決断しました。」大泉さんが角田市で農業をやりたいという話を奥様にされた時は快く賛成してくださったそうです。

地域の方と密接に繋がれるのは面白い

「新幹線で白石蔵王まで来て、そこから角田市まで車で移動したのですが、今まで東京や神奈川で当たり前に見てきた沢山の建物が無く、畑や田んぼが広がった風景は、のんびりしていて解放感があり、とても良い印象でした。」と初めて角田市に来た時のことを話してくれました。

「妻の実家は高台にある神社なのですが、杉の木に囲まれたとても自然を感じられるところでした。神社の暦でお餅をついて食べることがよくあるのですが、自分でお餅をついて食べることはこれまで経験がなく、とても驚きました。」大泉さんの奥様のご実家は角田市にある『熱日髙彦神社』という由緒ある神社です。子宝祈願や縁結びで知られており、地元では『おひたかさん』と称され親しまれ、ご参拝される方が時期を問わず訪れています。

熱日髙彦神社

 
 

奥様の歩(あゆみ)さんと熱日髙彦神社の境内で。

 

角田市で暮らし始めると、東京との日常の違いを感じたそうです。
「地域の方々でお酒を飲む機会が多く、お祭りなどでは昼からお酒を沢山飲んだりすることもあったりして驚きました。東京や関東圏と比べて地域の方々の関わりが深く衝撃を受けました。今まではこんなに密接に地域の方々と関わったことはなかったように思います。地域の方が自分で作った野菜などを分けてくれたりと、頻繁に交流をしてくれる。そういった優しさはいいなと思っています。元々、土地の成り立ちに興味があり、東京に居たときには分からなかった、昔の人の考えや、土地のことを聴けることも嬉しかったです。」大泉さんのお話から地域の方々の暖かい人柄が伝わってきました。

地域の方々との交流は仕事にも影響があったそうです。
「地域の方とお話をしていた時、角田市内で飲食店を開いている方に『ねぎを作っているのであればお店でもねぎを使いたい。』と言っていただくことがありました。仕事やプライベート問わず地域の方と密接に繋がれるのは面白いですね。」と嬉しそうに話してくださいました。

自然の多さや地域の魅力がたくさんあります

角田市に来た時は、やはり不安もあったそうですが、実際に暮らしていくうちにその不安も無くなっていったそうです。
「最初のうちは方言が分からず、外国語のように聞こえ、うまく聞き取ることができませんでした。住み始めた時は不便さも感じましたが、自然が多く、東京にいた時より時間の流れがゆっくりしているので、都心の忙しい生活に疲れている方や、子育てをしている方にはおすすめだと思います。」と語ってくれました。
大泉さんは続けます。「子供が小さいので、子供向けの病院が少ない点は少し困りますが、車で少し走ると名取市の大型商業施設や、隣町の大河原には映画館もありますし、コンビニなどがある市の中心地までは少し遠いですが、今は通販でも買い物ができるので、慣れた今では生活の不便さはありません。」

左から那心(なこ)ちゃん・歩さん・太貴彦さん

 

 

大泉さんは食の面でも角田市に来て良かったと思っているそうです。
「角田市は梨や仙台牛の生産もしているので、A5ランクの肉が道の駅で時々販売していたりします。直売所などでも生産者の方から新鮮なものが手に入ります。東京に住んでいた時は、スーパーには有名な商品などが置いてあることが多かったのですが、角田市では地域の特産のものがよく置いてあります。私が作っているねぎの加工品も現地でしか買えないものの一つです。」と角田市の魅力を教えてくれました。

家族で道の駅近くの公園で。

 

 

大泉さんには現在2歳になるお子さんがおりますが、もうすぐ2人目のお子さんも生まれるそうです。
そこで休日の過ごし方を聞いてみました。「妻の実家である神社を手伝いに行ったり、休みの日は家族で過ごすことが多いです。道の駅の近くの交通公園にある”どんぐりぱーく”で遊んだ後に、道の駅にあるフードコートで昼食を食べ、阿武隈川沿いを散歩しながら帰宅するのが楽しみです。僕は”どんぐりぱーく”と道の駅のフードコートのラーメンがお気に入りです。」と楽しそうに話してくださいました。

若い人にもっと農業を広めたい

大泉さんが舘島田生産組合で働き始めたきっかけをお伺いしました。
「妻の実家の神社関係者の方が、舘島田生産組合の役員の方でした。角田市に来た時に『農業が好きであれば組合に就職してみない?』と声を掛けていただいたのがきっかけで、就職をさせていただきました。
舘島田生産組合の主力はお米ですが、他にも梅の生産から梅干しへの加工や、ねぎの加工まで取り扱っていて、様々な生産に携われることも選んだ理由の一つです。東京での農業はアルバイトという形でしたので、角田市に来てから種まきから販売まで初めて一連の流れを経験しました。」と大泉さん。

「全国的に農業に従事している人の平均年齢が66歳だと言われており、高齢化も進み個人でやっている農家さんは減少してきています。法人として大規模にやって行くというのが県の方針になってますが、そのためには、若い人がどんどん入ってくれるような会社を作りあげていかなければならないと思います。」と農業に対する熱い想いも話してくださいました。
「宮城県農業大学校などに行き、卒業生に就職してもらえるように授業の一環として会社について説明をさせていただいたりもしています。
学生さんに作業を体験していただいたり、少しでも会社に興味をもってもらえるように活動しています。」

大泉さんは加工品の販売や地域の発展にも力を入れており、“かくだ創業スプラウト”という角田市の取組みに参加されていました。
「現在は参加していないのですが、当時ねぎがきっかけで取組に参加しました。ねぎを生産する中で正規品にできない商品がどうしても出てきます。悪い所があっても味は変わらないので、何とかしてお客様に提供したいという想いがあり、生産したねぎを使用し何かを作れないかと常々考えていましたが、自分にはそのノウハウがなかったので、“かくだ創業スプラウト”で行なっていた加工品の講習会に参加させていただきました。講習会では、加工品の作り方の他、どんなお客様に向けてアピールしていくかを勉強し、試作品の制作を行いました。」

大泉さんが考えた万能ピリ辛ねぎ漬け”ネギ彦くん”

 

 

「“かくだ創業スプラウト”へ参加した後、自分なりのアイディアを練り上げて『万能ピリ辛ねぎ漬け”ネギ彦くん”』という商品を作りました。“ネギ彦くん”は、角田市の飲食店様で油淋鶏(ユーリンチー)やカレーのトッピングなどに使っていただいたり、道の駅で販売していただき多くのお客様に届くことに繋がりました。」道の駅 かくだにあるフードコートで提供されている味噌ラーメンにも“ネギ彦くん”は使用されており、”ネギ彦くんラーメン”として人気です。
「”ネギ彦くんラーメン”は私が辛いラーメンが好きでしたので作ってもらいました。」
と裏話も教えていただきました。

会社を引っ張っていけるように

「今は加工品として“ネギ彦くん”しかありませんが、今後は、梅を使った加工品なども増やしていき、関東圏などにも卸せるようになりたいです。
現在はその足掛けとして、作ったものを仙台の方に卸し始めており、クリスロード商店街にある『みやぎ・みちのくカイタク市場』には梅干しを出品したりしています。自分が作ったものを市内の方々と協力しながら広めていけたらと思います。」
これから多くの方に角田市の魅力ある商品が届くのが楽しみです。

“ネギ彦くん”は、道の駅かくだで販売されています

 

 

「会社でも高齢化が進んでいることもあり、現在、会社には30名ほどが所属していますが、アルバイトを除くと、社員としては私が一番若い世代です。いずれは会社を引っ張って、良くしていきながら、地域の方に信頼してもらい、畑や田んぼを後世に残していきたいです。
毎年秋に開催している“ねぎまつり”も今後、様々な所とコラボしていき、大きな祭りへ発展させ続けていきたいと思います。」と大泉さんは、これからのビジョンを目を輝かせながら語っていました。きっと、これからも農業と角田市の発展を担う世代としてご活躍されることでしょう。

広大なねぎ畑で作業する大泉さん

 

 

大泉さんの活躍や暮らしぶりなどはこちらからも是非ご覧ください。

舘島田生産組合のInstagram
https://www.instagram.com/tateshimadaseisankumiai/

舘島田生産組合ネギ彦くんのTwitter
https://mobile.twitter.com/negihikokun

熱日髙彦神社
・HP
https://hitaka.org/
・Twitter
https://twitter.com/hitaka_jinja
・Instagram
https://www.instagram.com/hitaka_gu_official/?hl=ja

(2022.11)

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