MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2023年10月2日
更新日:2023年10月2日

美里町

地元愛と思われるのは“いづい”けれど、ふるさとに戻ってまちづくり/大村昇さん

  • 地域おこし協力隊
  • 地域づくり・交流

大村昇さん

宮城県の北東部に位置する美里町。鳴瀬川と江合川という2つの川がもたらす恵みにより農産業が盛んで、秋になると黄金色の美しい田園風景を目にすることができます。

美里町は2006年に「小牛田町」と「南郷町」が合併して誕生。県外での知名度はまだ低いですが、地域おこし協力隊としてUターンした大村昇さんはそのことをポジティブに捉え、町のPRに努めています。

「宮城においでよ」と手招きされてUターン

1992年生まれで、小学1年生の頃から学生時代を美里町で過ごした大村さん。大学卒業後、一度は仙台の営業会社に勤めますが、コピーライターになりたいという思いをかなえるため上京し、養成講座を経て都内のプロダクションに勤務。その後独立し、フリーのコピーライターとして3年間実績を積みました。

その経験を活かし、生まれ育った宮城で仕事ができないかと考え始めた時に、コロナ禍が到来。オンラインで開催された移住イベントに参加したことがきっかけで、宮城県内の市町村担当者とつながりが生まれました。

「ああいった移住イベントは、実績を伸ばすために何としても自分のまちに来てもらおうとするはずですよね。でも宮城の皆さんは横のつながりがあって、みんなから『宮城においでよ』と手招きされているような気がしました」

その後、実際に東松島市や気仙沼市、栗原市、大崎市と各地に足を運んで、宮城の地域の多様性や面白さを知ると同時に、案内する各担当者の姿を見てまちづくりにも興味を持ち始めます。「皆さんが楽しそうにしているのが印象的で、書くというスキルを生かして自分にもまちづくりに寄与できることがあるのかもしれないと思いました」

そのような時、美里町でも地域おこし協力隊の募集が始まると知り応募。2022年4月、1期生として故郷に赴任します。「美里で活動したい、まちづくりに携わってみたいとは考えていましたが、それを地元愛のように思われるのはいづい(しっくりこない、居心地が悪い)んですよね。『地元が大好き!』というよりかは『もう、放っておけないなあ』というような感覚で。そんな愛のカタチなんです」と大村さんは笑います。

実体験を踏まえ、交流を通して地域との関わりをつくる

移住イベントで関わりを持った他の市町村に比べ、美里町は情報発信が十分でなく、「それが寂しくもあり、チャンスでもある」と感じた大村さん。「すでに地域おこし協力隊の先輩が活躍している地域に比べて大変だとは覚悟していましたが、美里という選択は自分の性に合っているかなと思いました」

赴任後は町のプロモーションや移住・定住促進に関わる事業に携わり、自身の体験も踏まえ「人との関わりが地域の関わりになる」と、県外のイベントでは来場者との交流を大切にしています。

自身が移住イベントに参加していた時の担当者と共に、今度は自治体側としてイベントに関わることになり、「『あなたがステージに立ってしゃべっているなんてね』と言われました。自分でも不思議な縁だなと思いましたが、うれしかったですね」。

「まだまだ知名度は高くない町のため、名刺を渡すと、『美里町?』と言われることが多い」といいます。それでも「逆にそれが楽しくて、ポジティブに捉えています。今度行ってみるよとか、案内してよとか言ってもらえて、実際に来てくれる方もいて、微力ですけど自分が地元を広げているとリアルに感じられています」と大村さん。

美里の人が美里を知ることがまちづくりの一歩

また、外に魅力を発信するだけでなく、内向けの活動にも力を入れています。「美里の魅力を発信しよう、どんどん外に出していこうという意気込みで来たんですが、いざ来てみたら、まず中の人に知ってもらうことが大事だなと気付きました。美里の人が美里を知ることがまちづくりの一歩で、その結果、外から面白い町に見えるのかもしれないなと」

その一つが、地元の中学、高校での取り組みです。自身の学生時代は、大企業に勤めることや公務員になることが将来の理想的な選択肢だと思い込んでいたという大村さん。「社会人になってからようやく、あらゆる生き方の選択肢があることを知りました。調べなかった自分も悪いんですけど、今の学生たちにはいろんな大人がいるんだよと示す必要があると思っています」

高校では、地域おこし協力隊としての活動や赴任の経緯など、自らの体験を講義。中学では講義のほかに、地域おこしの活動にも取り組んでもらっています。生徒に美里の魅力を調べて記事や動画にして発信してもらったり、美里町公認キャラクター「みさとまちこちゃん」のグッズ開発のアイデア出しからデザインまでを実践してもらったりしているそう。

同じく、地域の人が地域の魅力を知る機会をつくろうと、移住者の交流会や、高校生がカフェで語り合うイベントも企画しました。「自分自身そうでしたが、地元にこんな人がいるのかと知らないことばかりで。そこにコミュニケーションをプラスできればと考えています」

まずはその土地を訪れ、人と接してほしい

そうしたコミュニティーの拠点として、大村さんは小牛田駅前にゲストハウスあるいはコミュニティースペースを作ることを地域おこし協力隊卒業後の一つの目標にしています。

JR東北本線、陸羽東線、石巻線が交差し、乗降客の多い小牛田駅。日々通学、通勤で利用する人、用事があってせっかく美里町に降り立った外の人が、電車待ちの時間を持て余してスマホをいじるのではなく、地域の人と関わる機会につなげたいと考えているようです。

もう一つの目標は、地域大学をつくること。気仙沼市に「ぬま大学」、角田市に「かく大學(だいがく)」、富谷市に「富谷塾」といった先行事例があり、美里町でも展開したいというのは着任前からの思いでした。「町の人が挑戦、というほど意気込まなくてもいいんですが、何か行動、活動するきっかけをつくれたらいいですよね」

自身がUターンするきっかけになった移住・定住促進事業の担当になって町に人を呼び込み、情報発信を行い、コミュニティーづくりに励む大村さん。移住を考えていても一歩踏み出せない人に向けてのアドバイスを伺うと、「まず行ってみたらいいですよ」と笑顔で即答。

「移住は結婚にも例えられますが、まずは知り合うところからですよね。そんなに意気込まず力まず、気になるなら一度食事をしてみようかという感覚で、その土地を訪れてもらえれば。そして、地域の人と接してみてほしいです」

「美里に来てもらったら私が東松島や気仙沼など、他の地域も案内します」と大村さん。自身が「チーム宮城」でUターンのきっかけをつくってもらったからこそ、美里に限らず宮城に迎え入れるきっかけをつくりたいと考えています。

「いきなり足を運ぶのはハードルが高いと思ったなら、まずはSNSをチェックして情報を集めてみては」とも。美里町でも大村さんら地域おこし協力隊が運営するSNSで情報を発信しています。ぜひチェックしてみてください。

大村さんの活動はこちらからもご覧いただけます。
・美里町SNS
 https://linktr.ee/misatomachi_kyoryokutai
・大村さんSNS
 https://lit.link/nobo0630
PAGE TOP

MIYAGI

SUPPORT

相談はこちら

移住・就職の相談をする

(一般の方向け)

宮城県への移住やお仕事に関するご相談は、
お気軽にみやぎ移住サポートセンターに
ご相談ください。

みやぎ移住サポートセンター

TEL090-1559-4714

10時-18時/火曜-日曜(月曜・祝日:休館日)