MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2025年11月13日
更新日:2025年11月13日

石巻市

海の仕事がしたくてUターン。そして今、すごく幸せです/熊谷英明さん

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熊谷英明さん

石巻市内で漁業資材を販売するお仕事に従事する熊谷英明さんは、宮城県気仙沼市のご出身。神奈川県からここ石巻市にUターンされて2年目を迎えます。この日は熊谷さんがお仕事で頻繁に足を運ぶという雄勝漁港付近の海辺と、そこから勤務先のアサヤ株式会社石巻支店へと場所を移してお話を伺ってきました。


熊谷さんが勤務するアサヤ株式会社石巻支店

気仙沼市に本社を構えるアサヤ株式会社さんは、1850年創業の老舗企業。漁具、船具、漁業資材等の販売と修理を営んでおり、三陸全域の漁業者さんを主な営業先としています。


きっかけは地元で暮らすお祖父さん

「高校生までは気仙沼市にいました。高校卒業後に就職し神奈川県へ、そこで約14年間暮らしました」という熊谷さんは現在36歳。就職した頃は登山やクライミングなどを趣味としていたので、それに関連するアウトドア関係のお仕事に就いていたそうです。


雄勝の海を眺めながらお話ししてくれた熊谷さん

そんな熊谷さんがUターンを考えるきっかけになったのは、地元気仙沼市で暮らすお祖父さんが亡くなり帰省した時。「一生その地(地元気仙沼)を誇りにして生きて、その地で生涯を終える。祖父のそんな生き方が何だかとても格好良く思えたんです。それで『やっぱり宮城に戻ろう』と決めたんです」そう話す熊谷さんは、海辺の町気仙沼市で育っただけに、もともと釣りやSUPなどの海のアクティビティに慣れ親しんできたこともあり、宮城県に戻るなら「今度は何か『海』の仕事に就きたい」と考えたそうです。しかし、その時はまだ具体的なことは何も決めていなかったようです。



「神奈川県に住んでいたときは、都会は確かに便利で物に溢れていたんですけど、僕の場合、遊びに行くのは結局はいつも山や海でしたので、都会に住むメリットを感じなくなってきていて。自分が求めているのはこれじゃないなと考えていました。そんなさ中に祖父が亡くなりまして…」とその時の心境を振り返ります。


決め手は地元企業

宮城県に戻ることを決めた熊谷さんは、宮城県内での海に関係するお仕事を探すべく、まずはインターネットで情報収集を始めます。



「『宮城県』『海』『仕事』といったキーワードで検索して出てきたのがアサヤでした。事業内容を見たらとても魅力的な会社で、しかも僕の地元気仙沼市の会社だったんです!」と、ここで初めてご自身の中で「海の仕事」のイメージが明確になってきたといいます。



「『社員が主役になれる仕事』という経営理念を見てこんな会社が地元にあったんだ、これだ!って思いましたね」とはいえ、漁師さん相手の営業活動や漁具の知識などに不安があったのも正直なところ。それでも、経営理念と魅力的な社風に惚れ込んだ熊谷さんは、意を決してアサヤ株式会社に直接アプローチし会社見学を申し込みます。



そんな熊谷さんに、Uターン先として他の候補地はあったのかを尋ねると「無いですね、ここ石巻市か地元気仙沼市かという選択肢はありましたが。この会社に入りたくてUターンしました。もし採用されなかったらその時はその時。また考えようっていう感じでしたね(笑)」ときっぱり。勤務先ありきのUターン移住であることを説明してくれました。


まさかの同姓同名。会社ホームページへの「直メール」

アサヤ株式会社の総務部で採用を担当している廣野さんに、熊谷さんについてお聞きしました。


気仙沼本社で採用を担当する廣野さん

廣野さんによると、ハローワークや求人サイトからの応募や問い合わせが採用窓口の主流になっているそうで「熊谷君はかなり特殊で、会社のホームページの『お問い合わせフォーム』から直接アプローチしてきたんです(笑)。しかもうちの専務と同姓同名でして。『熊谷英明です』って。はじめは専務、何をふざけてるの!?って思いまして(笑)」と、直球勝負の熊谷さんに強いインパクトを感じたそうです。


「専務、何ふざけてるの?(笑)」と廣野さん

廣野さんは、求人サイトなどを経由せずに、直接的に会社にアプローチしてきた積極性や、出身地が気仙沼市だという事などから「うちの会社に興味を持ち、しっかり調べて来てくれている」と確信したそうです。



また、「同姓同名の専務も『これはもう間違いなくいい奴だから!』という話になりまして(笑)、ぜひ会ってみたいなってなりました」と廣野さん。熊谷さんの第一印象にまつわるエピソードも教えてくれました。


Uターンを果たし石巻市で新生活

念願が叶いアサヤ株式会社さんへの入社を果たした熊谷さんに、勤務先が地元である気仙沼市ではなく石巻市である理由を尋ねると「妻が千葉県の出身で東北に住むのが初めてで、車の運転が苦手なんです。なので車以外の交通機関が利用しやすく支店がある石巻が良いなと。仙台にも近いですし。それで石巻支店を希望しました」アサヤ株式会社さんにはその希望を快く受け入れてもらい石巻支店への配属が決まったのだそうです。



廣野さんは「実は私自身も千葉県出身なんです。偶然にも熊谷君の奥さんと同郷で、奥さんの気持ちが良く解かりました。関東圏から宮城に来て、身の回りのことが一変してしまうのが私は大変でしたので…」と奥様の気持ちも察します。ご自身もIターン移住者である廣野さんは、同社の現社長であるご主人と東京で知り合いご結婚。当時はお互いがサラリーマンでしたが、東日本大震災に見舞われたのを機に気仙沼市に戻られたそうです。
「出会った頃は夫がこういう会社の跡取りだなんて知りませんでした。強制Iターンですね(笑)」と、ドッと笑いを振りまく廣野さん。「でも今は気仙沼が大好きです。暮らしていて全てが心地よいですよ」としみじみ語ってくれました。


海の仕事。良い意味での「公私混同」が楽しくて

「知らないことだらけで、今でも毎日が勉強です」という熊谷さんが担うのは営業職。同社の商材である漁具や船具のほか漁業資材などを漁業者(漁師さん)に販売するのがお仕事ですが、売るだけではなく、売った商材の設置やメンテナンスに伴って内船作業も多いそうで、特殊な知識や技術も必要となるとのこと。


お客さんに納品する漁具を上司と一緒にチェック

「いろいろなことを覚えるのは大変なんですけど、それよりも休みの日とかお客さんから『今から船で釣り行くけど一緒に行くか?』なんて声かけてもらえたり、漁のお手伝いをすることもあるんです。こういうのは他の仕事であまり無いと思いますね」と眼を輝かせます。


お客さん(漁師さん)との釣りの様子 お写真は熊谷さん提供

この様な「良い意味での公私混同」が楽しくもあり、とても大切な時間でもあるという熊谷さんは「そこから一気にお客さんとの距離が近くなって、そうなるとお客さんの所に行って話をするのが楽しみになるんですよね。話しているうちに『ああ、そうだあのロープ持ってきてけろ』って。次々に仕事に繋がるんです」と、お仕事を自ら楽しいものにする前向きな考え方を明かしてくれました。


お客さんとの対話の時間は熊谷さんにとって大切なひと時

「水浜漁港」の漁師鈴木晃喜さんは、熊谷さんのお客さんでもあり海のことをいろいろと教えてくれる大切な人。この日はインタビューの後、私たちを鈴木さんのところに連れて行ってくれました。


左が水浜漁港の鈴木晃喜さん。日焼けした素敵な笑顔が印象的でした


廣野さんにもお仕事ぶりをお聞きすると「うちの会社の仕事は結構特殊なんです。相手が漁師さんだったりするのと、前職で漁具を扱った事のある人はそんなに居ないですから、新卒じゃなくてもだいたいの人が初めての仕事になると思います」また「熊谷君は前職が漁師だったのかな?って思うくらい積極的に海(漁師さんのところ)に行くし、怖がらないし、普通なら数年かかってしまう技術も習得するのが早いんです!」と嬉しそうに称賛。



熊谷さんも「最初にホームページで見た『社員が主役です』や、『貴重な人生を費やす会社なのだから楽しくなくてはならない』といった企業理念に惹かれましたが、入ってみたら本当にそのとおりで、とてもやりがいがあって毎日が楽しいです」と、感謝の気持ちを言葉にしてくれました。


石巻での暮らし。その魅力を噛み締める

気仙沼市のご出身とはいえ、長年の間を神奈川県で過ごしてきた熊谷さんにとっては石巻市での暮らしがとても新鮮に感じられているそうで「石巻は海も山も商業施設も全部揃っていてバランスが良いと思います」と、改めてその魅力を再認識。また「僕は釣りが趣味でして、とくに牡鹿半島は未開の釣り場が無数にあるんです。そういうのを巡り探すのが大好きなんです」という熊谷さん。
最近は北上川でのウナギ釣りにのめり込んでいるそうで、「今年は天然ウナギをたくさん食べましたね。結構釣れますよ(笑)」と語りかける人懐っこい笑顔が印象的で、お客さん(漁師さん)に好まれる由縁をうかがい知ることができました。

また、首都圏での生活では考えられなかった「人との距離の近さ」を強調。「神奈川では隣に住んでいる人が誰なのか解からなかったのですが、ここに来てからは隣の人とも良く話をしますし、釣って来たお魚をあげたりして喜んでもらっています」と、石巻での「あげたり貰ったり」のお節介的な心遣いが心地良いのだそうです。



熊谷さんは「お魚はかなりの頻度で貰いますね(笑)、もらって捌く前にその人から電話がかかってきて『どうだった?うめがったが?(美味しかった?)』って。まだ食べていません(笑)みたいな。そういうのって嬉しいですね、自分のことを気にしてくれていて」と、石巻暮らしの充実ぶりを噛み締める様に語ってくれました。


関東の友達と地元の漁師さんを呼んでバーベキューをしたい!

これからの目標は?とお聞きすると「一軒家を建てて、そこにお客さんと関東に住んでいる友人を呼んでバーベキューをしたいんですよ!」と即答。



お客さんとはお仕事で関係を築いた漁師さんたち。そこに関東圏の友人を招いて橋渡しをしたいとのことで「そうすれば、宮城の美味しいお魚や漁師さんのことを知ってもらえるし、人と人が繋がって、僕自身も含めみんなにとって楽しい人生になると思うんですよ」と、力を込める熊谷さんでした。


熊谷さんが大好きなスポットだという「日和山」 お写真は熊谷さん提供

「今、仕事もプライベートも全てのバランスがとても良く、体調も今までで一番良いんです!」という熊谷さん。最後に、移住を考えている人たちに向けてこんなことを語ってくれました。「移住を考えている方がいたら、ここ(石巻市)に来てもらえたらと思います。きっと楽しい毎日を過ごせると思います。僕もそうだったので」



今回は、熊谷さんを中心として職場の方々から漁師さんまで、たくさんの方々にお話を伺う事が出来ました。皆さんのお互いを思いやる関係に温もりを感じ、心が洗われるような気持ちになるインタビューでした。



熊谷さんが勤務するアサヤ株式会社のオフィシャルホームページ
https://www.asaya.co.jp/

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