MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2017年12月5日
更新日:2023年2月21日

加美町

加美町での新規就農を目指す!地域おこし協力隊の先にある、町の活性化という夢

  • UIJターン
  • 地域おこし協力隊
  • 農林水産業

岸田紗季さん、庄司政信さん

数多くの地域おこし協力隊員が活躍する“加美町”!

みやぎ移住ガイドでは、これまで宮城県内へ移住をされた数多くのインタビュー記事を掲載してきましたが、今回は、地域おこし協力隊の制度を通じて、宮城県北部の加美町で新規就農を目指す2名の隊員のインタビュー記事を掲載しました。隊員としてお二方ともに2年目を迎え、それぞれ行ってきた取り組みがカタチとして表れはじめ、最終年である来年度やその先に向けて、様々な目標を立てられています。

岸田紗季隊員は、兵庫県神戸市出身で大学時代から宮城県(仙台市)に在住。神戸という大都市で生まれ育ち、大学卒業と同時に地域おこし協力隊へ入隊。庄司政信隊員は加美町の生まれ育ちで仙台の専門学校を経て東京で就職。東京で16年間生活をした後に、生まれ故郷である加美町へUターン。年代や出身地、社会経験は違いますが、二人の共通点は加美町での新規就農を目指す2年目の隊員であるという点です。そんな二人のインタビュー内容には、地方での生活や農業を目指す方への大きなヒントが数多くありました。

▼加美町地域おこし協力隊活動状況
http://www.town.kami.miyagi.jp/index.cfm/6,6849,135,html

岸田紗季隊員は、大学卒業と同時に地域おこし協力隊へ!

加美町地域おこし協力隊員として2年目を迎えた岸田さんの生まれ育ちは兵庫県神戸市。高校時代から農学部で稲作に関する勉強をしたいと思い、東北大学農学部へ進学。入学間もない頃は、大学院に進むか公的機関や民間で品種改良などの研究を続けようと考えていたそうです。しかし、実習をはじめ外での活動を行ってみて、自分には内よりも外での活動が合っていると思い、また、実際の現場での作業を行うにつれ、農業そのものに強い興味・関心を持つようになり、農業へのチャレンジを決められました。

新規での就農を目指すにあたり、農業法人への就職なども考えられたそうですが、ある程度自分の裁量で出来て、最初なので他の地域や様々な農業法人や農家も見られる、自由に動くことが可能な入口があればいいなと思われました。その方向性から考えた時に地域おこし協力隊の制度は、自分にとって最適な制度と思い、大学卒業と同時に加美町の地域おこし協力隊へ入隊しました。また、加美町は先輩・同期などの隊員も多い事から、新しい人の受け入れにも町や行政が慣れていて、加美町を選んで正解だったそうです。

岸田隊員の入隊後から現在まで

入隊前は、体力面の不安もあったそうですが、いざやってみると当初は筋肉痛などが続いたものの、慣れるとそれまでは持てなかった30kg程度のお米も持てるようになるなど、体力面の不安はほどなく解消されたそうです。2年目のいまでは米作りを中心に、野菜の栽培などにも携わっており、里芋や白菜、ブロッコリーなど15種類程度を栽培。独学で栽培方法を研究し実施。ただ、上手く栽培できないケースも当然あり、その場合は各農家さんへ教えを乞いに行かれたそうですが、「なぜ、上手く育たないのか?」を自分で考え、調べた上で聞きに行かれているとの事。まず、問題点を自身で考えるという姿勢に大変感銘を受けました。

また、直売所にも出店するようになったそうですが、出店されている農家の方々が、いつ何をつくっているか、その理由などをうかがって参考にしているそうです。直売所に出店している農家は会員数200名くらいですが、地方全般の悩みでもある高齢化は深刻なようで、いずれは入れ替わりも起こってくるので、自分が少しでも応えられたらと思っているそうです。同時に現在は餅づくりにも携わっていて、年末年始に需要が高まる事から、これからが佳境を迎えられるそうです。現在は、田んぼ一反、畑八畝、ビニールハウス一棟を借り、日々の作業と研究に取り組まれています。

最終年度の3年目と将来の夢

岸田さんの3年目の新たな取り組みとして、米作りにおいて「合鴨農法」を導入されるそうで、その為の合鴨も10羽程度予約済みとの事。また、独立就農に向けては経営面での勉強が必要であると強く感じられたそうです。いいものを作るにしても収穫したあとに手元に残らなければ、新しい取り組みも含め次につなげる事ができなくなってしまいます。農業をビジネスという観点からも捉え、資金計画や調達方法などについて、更に本格的な勉強をされていかれるそうです。

現在の住まいは最近まで居住者がいらした空き家だそうですが、部屋数はなんと10部屋!最初に紹介された時は、自分がお借りしていいのかと思われたそうです。加美町は農林業を活かしたグリーンツーリズムも盛んな事から、将来は体験型のグリーンツーリズムにも携わり、また、協力隊員や研修生を受け入れられるようになるなど、自分の農産物や加工品などのお客様がいて、地域に根差した農業を行いながら、人との交流を大事にするような仕事になればいい。岸田さんは、そのような将来の夢や目標を見据えながら、最後までお話し頂いた姿が大変印象に残る方でした。第2第3の岸田さんが加美町で続くのでは、という期待を強く感じさせられたインタビューでした。

東京のIT業界での起業経験者!Uターン者の庄司政信隊員。

岸田隊員同様、加美町地域おこし協力隊員として2年目を迎えた庄司さんは、生まれも育ちも地元加美町で実家は農家。高校卒業後は仙台市のIT系専門学校へ進学。就職と同時に東京での生活をスタート。SEとして充実した生活を送られ28歳の時には法人を設立。その後、結婚されて子供もできるなど家庭にも恵まれたそうです。事業主として困難に直面しても都度乗り越えて来られてきましたが、お子さんが4歳くらいの時に子育てを考えてみると、自身が育った環境は自然豊かな加美町であったが、東京では電車で通学をする子供も多く、便利さはあるかもしれないものの、子供が育つ環境としては果たしてどうなのか?と思うようになり、加美町へのUターンを考えるようになったそうです。

時を同じくして、加美町の両親からも「戻って来ないか」と言われた事と、激務で庄司さん自身も体調を崩された時期でもあり、地元へのUターンをより真剣に考えるようになったそうです。奥様も秋田県の出身で地方での生活には抵抗がなく、待機児童問題も考えずともよく、加美町へのUターンは庄司さん自身だけではなく、奥様や子供、両親の皆にとって幸せな状況になると思い、戻られる事を決意されました。戻るにあたり実家の農業を継ぐ前提で考えていたものの、果たして農業で生計が成り立つのかを様々な面から調べ上げたとのお話しは、庄司さんが最近まで経営者であった事を強く実感させられました。

庄司隊員の入隊後から現在まで

実家を継いで、親から農業を教わるという道もありましたが、庄司さんは考え抜いた結果として地域おこし協力隊員への道を選びました。実家をすぐ継げば、農法や人間関係も親をはじめとする一定範囲に留まってしまう可能性が高く、また、戻る前に農業の情報を調べていた時に、全国では成功例も数多くあり、そこでは経営的な視点から農業をビジネスとして捉えられている点から、加美町の地域おこし協力隊であれば、農業で生計を立てている農業法人で学ぶ事ができ、隊員期間で経験や知識を身につけられるとともに、実地でも学べ、多くの農家からも習得ができる活動範囲の広さが、最終的に協力隊を選択した理由でした。

現在の受入先の農業法人では従業員も6~7名が在籍。人件費も払えて黒字化している。資金や繁閑を見越して仕事をつくるなど、経営的な手法には目を見張るものがあると強く実感したそうです。現在は法人のやり方を更に深く広く見て、そこにある多くのヒントを自分の経験・知識として持ち帰れば、将来の自分の経営上のヒントになるのではないか。事業主の経験から農業をビジネスとして捉える自身の見方はシビアでもあるが、実地で学べるのが協力隊の制度であり、報奨もあるため一定の収入も得られ、自分にとってはベストな制度であると改めて感じられているそうです。

最終年度の3年目と将来の夢

現在の庄司さんは、日々の業務とともに事業計画書も作成するなど、3年目を迎えるにあたり、いままでの隊員期間で培った経験や知識とともに、自身が16年間経験してきたSEや経営者的な視点も付加して、将来の計画を策定されています。その中でも、強く印象に残ったのが「幸せ分岐点」という言葉でした。規模をただ大きくするのではなく、幸せある分岐点で拡大を止める。事業を将来立ち上げた時には、関わる人達が一緒にチャレンジできる組織にされたいそうです。20代で戻っていたら拡大拡大を目指していたかもしれませんが、30代後半で家族も出来ると、最低限必要な業績が確保できれば、みんなの幸せが第一である。そんな思いを語る庄司さんの将来の農業法人をイメージしてしまいました。

庄司さんとのインタビューで、最近まで経営者をされていた事が分かるのは、事業の計画が数値化されていて、アイディアも具体的であり、聞く側がイメージしやすい点です。また、資金計画や年毎の推移や裏づけなども明確でした。そんな庄司さんも将来は、農業法人とともにグリーンツーリズムや農家民泊にも携わり、外にも活動や発信を広げていきたい。更に、そのような業務を通じて、協力隊や移住定住の志ある方の受け入れを積極的に行えれば、
地域の活性化にも大いにつながるのでは。庄司さんは、東京での仕事や生活が長かったので、移住者側の視点が分かるとともに、地元出身者でもある事から地元の方々の視点からもお話が出来る、加美町にとって貴重な人材が戻られた事に喜びをとても感じました。

インタビュー後記

インタビューを終えて、お二人が大変対照的であると改めて思いました。新卒の岸田さんと社会人経験が豊富で経営者でもあった庄司さん。生まれ育ちも岸田さんは兵庫県神戸市で庄司さんは加美町へのUターン。そして女性と男性で、年齢も20代と30代。とにかく対照的なお二人でしたが、ともに共通すると強く感じた事は、農業への“強い思い”と加美町への“深い愛”です。

なにより、インタビューでは、将来についてのお二人のコメントの中で、自分達だけではなく、自分達に続く人材が継続的に加美町へ来られるように、様々な取り組みや将来は自分達が協力隊員や研修生などを受け入れられる、育てられる存在になりたいという点でした。どんな道でも困難はありますが、お二人はそれを越えるとともに、その先には加美町の次の人材や更に次の人材が続くような、農業や地方での生活を目指す人材の目標となる!そんな期待を強く実感したインタビューの時間でした。お二人が現在活躍する加美町では、平成30年度の地域おこし協力隊員の募集も開始しています。こちらも、ぜひご確認下さい。

<加美町地域おこし協力隊募集>
加美町で、地域おこし協力隊を募集しています!

<加美町の紹介>
四季折々の美しい風景がある「ほどよい田舎」、加美町

最後に 加美町特産『サボイキャベツ』について

加美町の農業振興に取り組む協力隊員2名のインタビュー記事を掲載しましたが、加美町の特産品の一つに『サボイキャベツ』という西洋野菜があります。高級食材としても知られ、多くは東京を中心とする高級フレンチやイタリアンレストランなどで使用され、特にロールキャベツはクリスマスシーズンをはじめ大変人気の高いメニューです。

また、都内の百貨店や高級スーパー等では大きさやシーズンにもよりますが、一玉1,000円以上という店頭価格も珍しくない高級野菜です。栽培の難しさなど国内でも産地が限られていますが、加美町は国内でも屈指の産地として知名度が高く、加美町の中新田(なかにいだ)地区での栽培が盛んな事から『中新田サボイ』の名称でも築地のプロ等に知られています。

その『サボイキャベツ』を取り上げた記事が下記となります。11月中下旬から収穫の本格的なシーズンとなりますが、ちょうど11月下旬に取材をされた内容です。また、加美町では、地域おこし協力隊をはじめとする新規での就農希望者も募っていますので、ぜひ、加美町の農業について更に知って頂ければと思います。

サボイキャベツの食べ方はロールキャベツが一番!/宮城・加美町門脇茂さん
https://rassic.jp/content/7649

手探りで育て始めた「サボイキャベツ」/宮城・加美町門脇茂さん
https://rassic.jp/content/7647

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