MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2018年12月25日
更新日:2023年2月21日

色麻町

色麻を「宮城の高円寺」に!/菅原一杉さん

  • UIJターン
  • 二地域拠住
  • 地域づくり・交流

菅原一杉さん

自然豊かな故郷へUターン

四季折々の自然が美しく、広々とした田んぼの風景の中の一軒家。大学進学と同時に離れ、10年余りの後にUターンした家です。現在は地元と東京の二拠点で暮らす菅原一杉(かずすぎ)さんに、叶えたい夢を伺いました。

「安室奈美恵さんと同い年なんですよ」と笑顔を見せる菅原さん。メジャーになる前からのファンで、10代の頃、同年代のキラキラした存在に魅了されたそう。その影響があったかどうか、バンド少年として育ち、東京では杉並区の中心でバンド活動をしながら自由を満喫し、暮らしていたといいます。

故郷へ戻ったのは2006年。「祖母が他界し、母が一人暮らしになったことがきっかけでした」。戻ってみると昔懐かしい風景に心の底からホッとして、「やっぱりここが好きなんだなぁと実感したんです」。資格を生かして高校の教員として働くなかで、東日本大震災が起きます。少しでも役に立てればと、NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター(CLC)の職員に応募し、NPO活動の中間支援に携わりました。被災地を回りさまざまな活動を目にするうちに、もっと積極的に地域の力になりたいと考えるようになったそう。

「地元を元気に」と一念発起、法人設立

CLCの活動を通して、まちおこしの肝は「場づくり」と実感していた菅原さん。何から始めればいいのか悩んでいると、ふと頭に浮かんだのは、住人が生き生き暮らしていた高円寺の風景でした。「若い人がやりたいことを競って形にしていた。失敗を恐れなくていい雰囲気があるんです」。自分の理想の街は高円寺。「そうだ、色麻を高円寺にしよう!」そう思い立つと、いてもたってもいられず、退職して人集めと団体の立ち上げに奔走しました。

10人の仲間を集めてNPO法人を設立したのは2017年11月。地元の仲間のほか、東京のバンドマンも「なんだか面白そうだから」と会員になってくれたそう。
団体名は「再生工場」をイメージして「ルネッサンスファクトリー」。色麻の魅力を掘り起こして生かす、というミッションと願いを込めたネーミングです。優秀な和牛繁殖の畜産農家、興味深い「七不思議伝説」など、菅原さん自身も帰郷してから初めて知った地元の自慢が多くあるといいます。

2018年には季刊の無料情報誌「来たら?」を創刊。色麻の「人」を通して地元の魅力を発信しています。「よかったらちょっと来てみてよ、という思いです。あまりプレッシャーをかけても来てもらえませんから」とほほ笑みます。移住はハードルが高いけれど、ただ観光に来る「交流人口」より少し関係性の強い「関係人口」を増やせれば、と菅原さん。地元の人やモノに魅力を感じて通ってもらい、気に入って移住する人が現れればすてきですよね、と夢を語ります。

地元と東京の二拠点。体当たりで色麻を発信!

現在、月の半分は地元、残りの半分は東京・浅草橋で過ごす菅原さん。「年間パスポートを設定していて安いから」という理由で定宿にしたゲストハウスが、偶然にも、地方創生やU・I・Jターン希望者向けのイベントを多く開いていたとか。「とてもラッキー(笑)。全国や世界から集まるゲストたちと情報交換をしたり、色麻の魅力を伝えたりできるんです」と話します。ここで出会った人との縁で、今年の10月には「移住体験ツアー」を実現。台風の影響でキャンセルが多く出てしまったものの、30代、40代の男性3人が参加し好評を得たそう。

「色麻を『宮城の高円寺』にする」という夢に近づくには、これから何が必要なのでしょうか。「まずは、地元住人の意識を変えないと」と菅原さんは表情を引き締めます。まちおこしに必要と考えた「場作り」のための集会所や研修施設は幸いにも多くあります。「でも、率先して何かやろう、という人が少ない」。また、新しい人たちが何かを変えることに抵抗がある人も多いのが実情です。
けれども菅原さんは、前向きです。例えば、町内に約50軒もある空き家のうち「貸したい」というのはたった2人。でもこれは、利活用のイメージが思い浮かばないからだと菅原さんは考えています。「情報が圧倒的に少ない。だから想像がつかないんです」。情報を、届く形で発信することが必要。空き家の持ち主を対象に、うまく活用した事例紹介や、「貸してよかった」という人に話してもらうセミナーを開くなど、できることはたくさんあります。

法人は設立からまだ1年。安定した収入の確保や、まちおこしの方向性など、課題の多さはそのままやりがいです。「色麻を高円寺に!」このフレーズ一つで、菅原さんはどんなときも元気が出るそう。いつか、自由でクリエイティブな若者が、色麻のあちらこちらで何やら面白いことを始める時代がやってくるかもしれません。

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