MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2018年12月21日
更新日:2023年2月21日

栗原市

シャッター街を元気に。古民家カフェ店主の挑戦/杉浦風ノ介さん

  • 古民家・空き家
  • 地域おこし協力隊
  • 起業・開業

杉浦風ノ介さん

「ここを面白くしたい」。直感で移住

栗原市栗駒地区にある六日町商店街。藩政時代は城下町として栄え、昭和までは鉱山で働く人やその家族で賑わいを見せていました。鉱山が閉山、2007年に鉄道が廃止になると、商店街は徐々に活気を失っていきました。そこへやってきたのが、杉浦風ノ介さん。長らく使われていなかった薬店をカフェとして見事に生まれ変わらせただけでなく、まるで磁石のように人を呼び込み、商店街に不思議な風を起こしているのです。

杉浦さんは京都生まれの東京育ち。学生時代は青森で過ごし、その後、京都で僧侶の経験もあるという異色の経歴の持ち主。宮城県へ来たのは26歳のとき。「東京でギャラリーを経営していた母が、突然『宮城で古民家を買ったのよ』と連絡してきたのがきっかけ」と言います。

面白そう。そう思って合流、栗原市一迫地区にある古民家の再生に取り組みました。周辺の薮を切り出すことから始め、リノベーション作業は3、4年にもわたったそう。ものづくり作家の支援に熱心だったお母様は、その後この建物を活用して「風の沢ミュージアム」というギャラリーを開設します。

「この間に、田舎暮らしの文化や栗原の人の温かさを体感した」という杉浦さんは、やがて車で15分ほどの六日町商店街に、直感的に関心を持ち始めます。「古いものが好きで、古いものを生かす仕事がしたかった。商売の可能性はあると思ったし、ここを面白くしたいなと」。

周囲を巻き込み「空き店舗調査」。移住仲間がやってきた!

六日町で商売をするならここ、と決めていた建物がありました。築百年を超える、元は薬店。「開明香(かいめいこう)」という軟膏目薬が評判で、かつて地元では「かいめんこやさん」と愛されていたそう。
つてをたどって持ち主にアプローチし、「貸す気はない」とキッパリ断られるもあきらめなかった杉浦さん。他のルートから再アタックし、なんとか直接会えることに。「街を元気にする交流の場を作りたい」と熱く訴え、「街のためになるなら…」と快諾してもらえたそう。決めた店名は、街の人に懐かしい「かいめんこや」でした。

オープンしたのは2015年11月。レトロな雰囲気と居心地の良さ、ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーや看板メニューのカレーが評判を呼び、順調に人気店へ。でも杉浦さんは自分の店だけでなく、商店街全体を面白く、元気にしたかったのです。

活用したのは「地域おこし協力隊」の制度。商工会を巻き込んで募集し、採用した2人に「空き店舗調査」を依頼しました。商店街の空き店舗の家主に一軒一軒連絡を取り、間取りと貸す意思の有無、家賃などをすべて調査し、情報を整理してもらいました。これにより、U・I・Jターン希望者への情報提供がぐんとしやすくなり、移住希望者が続出。この3年間になんと8軒もの店舗が開業または開業準備中だとか。

空き店舗の活用に栗原市の補助金制度があるとはいえ、このハイペースの理由は一体何なのでしょう。
「ん~~。まぁ、もともと栗原出身の人もいるし、知り合いを紹介したってケースもあるし…」と、明確な答えは返ってきませんでした。でも、話を聞いて確信、これは杉浦さんが巻き起こした風なのだ。もともとあった街の魅力と、杉浦さんのフットワークと勢い、アイデアといったものが融合した結果だ。一見物静かで穏やかだけれど、杉浦さんの「巻き込み力」はきっとすごいのだ…そう感じさせます。

祭りと人情の街。未来はコンパクトシティに

とはいえ、まだ賑わいというには物足りない状況は変わりありません。約100軒ある店舗のうち、店を開けているのは40軒ほど。そのうち、跡取りが確保できているのはわずか3、4軒だそう。「危機的状況ですよね」と杉浦さん。でも、悲観はしていません。「なんとかできる。資源はたくさんあるし、まだ人を呼べます」。

街の資源。その筆頭は、街を挙げて盛り上がる祭りです。特に7月に行われる「くりこま山車(だし)まつり」は、毎年地区ごとに新作の山車を作る熱の入れよう。製作期間はなんと2ヵ月!「すごいでしょ、本気なんです」と笑う杉浦さん。ちょうちんの灯りが幻想的な「くりこま夜市」も、杉浦さんの好きな祭り。

今年は知人や友人に呼びかけ、20~30店舗もの新規の出店にこぎつけたそう。
他に魅力は、と尋ねると「フーテンの寅さんがひょっこり現れそうな雰囲気ですかね…。あと、誰もが主役になれること」とつぶやく杉浦さん。うん、なんとなく分かります。人と人の関係が近い、いつもどこかに街の人が集まっているような。実際、インタビュー中にもふらりとお土産をぶらさげて店に入ってきて、何十分も立ち話をしている人が。人情のある街、ということが短い滞在時間でも伝わってきます。

六日町で何か始めたい、と興味を持った人へアドバイスをもらいました。「人と関わるのが好きな人なら、きっと大丈夫。人見知りでも、一度山車まつりに参加すればイヤでも仲良くなれますよ」とニッコリ。「僕は飲食店経営の経験なんてなくて、そば屋でアルバイトをしたことがあるだけ。それでもカフェができている。やりたい、という気持ちだけ持ってきてほしいですね」。

未来の六日町への夢は具体的。「コンパクトシティを作りたい。もともと病院やスーパー、銀行、郵便局、なんでも揃っている商店街。お年寄りも子どもたちも、歩いて暮らせる街にしたいですね。あと、個人的には、ゲストハウスと『がらくた屋』をやりたいです」。がらくた屋…? ワクワクするような夢の話の続き、ぜひ、実際に訪ねて聞いてみてくださいね。

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