MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2018年12月15日
更新日:2023年2月21日

栗原市

「俺は、やっぱり百姓のせがれ」。フルーツトマトにかけた夢。/小野寺吉生さん

  • 農林水産業

小野寺吉生さん

仕事を褒められるより、「うまい」と言われたい

栗原市一迫。里山の風景をのんびり走り、連なるビニールハウスに見つけた看板「トマトハウス夢風船」。小野寺吉生さんが、21年前からフルーツトマトを栽培する農園です。

「トマトの旬って、いつだと思いますか」。インタビューするつもりが逆に尋ねられ「7月…8月でしょうか…」と自信なく答えると、小野寺さんの答えは「実はもっともおいしい旬は、春なんですよ。4、5月ごろが最高」。日ごとに太陽光の量が増え、少雨でほどよい気温という、トマトにとっての好条件が整うためだそう。なんと、それは知りませんでした! さらに「フルーツトマトという品種はありません。一般に出回るトマトを糖度を上げる栽培方法で作るんですよ」という言葉に、さらに驚きます。

小野寺さんは北海道北見市常呂町の農家に生まれ育ちました。そう、平昌五輪で一躍脚光を浴びた女子カーリングチーム「LS北見」の地元。しかもLS北見の小野寺チームコーチは実弟だという告白はのっけから3度目の驚きですが、この話はさておき。

東京の大学の農学部で肥料や土壌を学び、肥料会社の研究員として就職。好きな農業に関わる仕事に没頭しました。ところが、栽培試験を終えた作物を社員におすそ分けして「すごくうまかったよ!」と喜ばれたとき、どれほど実績を上げたり上司に褒められたりしたときよりうれしい自分に気づいたそう。「俺はやっぱり百姓のせがれだ、って思ったんだよね」。

苦難乗り越え、品質第一を貫く

農家になるしかない、と転職を決心した小野寺さん。40歳目前の年齢で新規参入できる分野は何か。何を育てるか。

思い当たったのは、当時親しくしていたトマト農家で「小さすぎて売れないから」ともらったトマトが驚くほど甘くおいしかったこと。ちょうどフルーツトマトの栽培が一部で始まっていたこともあり、「これだ!とピンときて」、目標を定めました。研究員時代に培った知識と技術を生かし、「養液栽培」を採用。中でも、トマト栽培としてはほとんど前例のない特殊な方法での挑戦を決意しました。

次に決めるのは就農場所。日照時間が長く、極端に寒冷ではない土地を探したところ、ちょうど宮城県の事業で新規就農者を募っていることを知り、すぐに連絡。すでにやりたい農業を明確に思い描いていた小野寺さんの情熱が伝わり、一迫町(当時)に農地を得ました。

夢にみた独立就農。大好きな畑仕事の毎日。けれども、現実は想像を超える厳しさだったと話します。
栽培方法はほとんど手本がなく試行錯誤の連続。安定しない収量、対策を取っても襲われる病気や害虫被害。完済のめどが立った途端、また借金を余儀なくされる苦しい経営。「百姓は本当に楽しい。好きなんですよ。畑にいるだけならいくらでもいられる。でもね、マイナスからスタートする農業経営は本当に苦労が多いんです」。

それでも、品質を追求する小野寺さんのフルーツトマトは、野菜の味にうるさい地元住人をうならせ、徐々にファンを獲得。そのおいしさは口コミで伝わり、「トマトハウス夢風船」のトマトを求めて直売所へ通う人や料理人も現れました。やがて地域のブランドとして定着し、もっとも甘くて味が濃く収穫時期の短いブランド「こい姫トマト」は、ほとんどが首都圏や仙台向けの注文販売で完売するまでに成長したとか。

「おいしいから東京の子どもに送るよ、なんて声をかけてもらえるとうれしくてね」と話す笑顔には、苦労を越えた小野寺さんだからこその深い思いと喜びがにじみます。味と香りに惚れ込んだ地元の洋菓子店がコラボを提案、共同開発したゼリーやディップソースは大人気商品になっています。

明確なビジョンと覚悟を~独立農業経営を目指す人へ~

「農業をしたい」「地方に移住したい」と考える人へ、豊富な経験からアドバイスを伺いました。
まず、農業法人等への就職ではなく、独立して農業経営を行うのは相当な準備と計画、覚悟が必要だということ。「どんな農業をやりたいのか、という明確なビジョンと資金計画、それに3年分の生活資金は必要」と小野寺さん。経験者ゆえのハードルの高さを提示してくれました。

また、地域になじむことも重要。小野寺さんは「まずは自分から挨拶すること。話をよく聞き、地元のやり方を覚えること」と言います。初めから自分の主張を押し通そうとするのは勧めません。お互いを知れば、自然に意見が言いやすくなります。地区の役員などを積極的に引き受けるのも、親しくなる近道。「最初は少し壁を感じるかもしれませんが、相手もこちらの様子を伺っているだけ。不安に思わないで」とアドバイスしてくれました。

栗原市の「くりはら移住定住コンシェルジュ」も務める小野寺さん。地元の魅力を「米がおいしい。人が温かい。栗駒山がいい」とまとめてくれました。「一人一人、感じる魅力は違うはず。ぜひ栗原・一迫へ来て体感してください」。

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