MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2019年11月28日
更新日:2023年2月21日

川崎町

「ここだからこそ」の価値とは /澁谷剛さん、菊地麻衣子さん、佐藤弥絵さん

  • 古民家・空き家
  • 地域おこし協力隊

澁谷剛さん、菊地麻衣子さん、佐藤弥絵さん

自然豊かな暮らしを求める30~40代の移住が目立つ川崎町。同世代の地域おこし協力隊のメンバーたちが、“自然体”で行う移住サポートが町の魅力発信につながっています。地域おこし協力隊1期生で仙台から移住した澁谷剛さん、同じく1期生で東京からの菊地麻衣子さん、3期生で仙台から家族で移住した佐藤弥絵さんに、移住のきっかけや現在の仕事、生活、今後の思いを語ってもらいました。

子どもも大人ものびのび。可能性を秘めた田舎の暮らし

―移住を思い立ったのは?

澁谷さん 以前は日本各地を転勤して回るサラリーマンでしたが、40歳を前にライフチェンジしたいと思ったのが移住を考えるきっかけでした。震災のこともあって、地元に戻りたい気持ちがあったのですが、仙台からの距離感や自然環境など川崎町の立地、環境がちょうどよく感じたんです。仙台にも山形にも近く、田舎ながら都会にアクセスしやすい。可能性がいっぱいあると思いましたね。好きなことを仕事にしていきたいけど、具体的に決めてきたわけではなかったので、この町でこの先のことをじっくり考えたいと思いました。これまで積み重ねてきたものを手放すのは怖くもありましたが、サラリーマンを辞めて違う生活に入るなら、40歳は仕事人生の折り返し地点として、ちょうどよい区切りになると思いました。

菊地さん もともと出身は川崎町から車で30~40分ほどの白石市。高校を出てから東京で10年近く働いてきました。地元では仕事の選択肢が少ないと思ったのが理由で、東京では経理事務からアパレル販売、着物スタイリストのアシスタント、花屋さんなど、いろいろ好きなことにチャレンジしてきました。そうした、「季節感」を大事にする仕事をして行く中で、次第に自然豊かなところで暮らしたいと思うようになったんです。振り返ってみれば、祖父母が家庭菜園をしたり、庭の手入れをしたり、山で山菜を採ってきたりしていたので、そんな身近に自然のある暮らしが自分のルーツになっているのではないかと思います。川崎町についてはあまり印象がなく、東京で開催されていた宮城移住フェアで初めて詳しく知ったんです。その時のトークショーで、当時、川崎町で新しくワイナリーを立ち上げようとしていた目黒浩敬さんの話を聞き、自然に感謝し、人とのつながりを大切にしながら、いきいきと働き暮らしている様子に惹かれ、その後、葡萄畑を見学するなど川崎町に足を運ぶようになったんです。魅力的な人に出会ったことが川崎町への移住のきっかけになりました。また、フェアで出会った役場の方も歓迎してくれる雰囲気があって印象が良かったんです。ここならいろいろ実現できそうに感じましたね。

佐藤さん 今年3月に移住するまで2年くらい、川崎町で開催されるイベントに通っていました。娘と同じ年頃のお子さんのいる友人家族が、2家族もこちらに移住していたんです。「いいところだよ」と声を掛けられ、子どもと遊びに来ているうちに自然や出会う人に惹かれていきました。上の子の小学校入学のタイミングで移住を決めたのですが、私の場合、友人家族を通してここでの暮らしぶりが分かっていたのが一番大きいですね。GWなど休みの日に、里山体験や川遊びに誘ってもらって家族同士で楽しんでいますが、以前ならレジャー代としてお金を払うような体験が、生活の延長や人とのつながりの中にあるのが魅力です。仙台より人との距離感が近く、のびのび遊ぶ子どもを見守り、一緒に子育てしてくれているような、ここの人たちの雰囲気を心地よく感じています。子どもにとっても、親やよその家の大人の働く姿が身近で、仕事というものを肌感覚で感じられるようなところもいいなと。昨年の秋から家を探し始め、3期の協力隊に応募。人と人を繋げるのが好きなので協力隊として役に立ちたいと思ったんです。

移住者の本音は“どこでも”いい?口コミで広がる住みたい町

―みやぎ川崎ワーキングビレッジ「SPRING」移住定住サポートセンターでのお仕事は?

渋谷さん 3人とも移住希望者のサポートをしています。川崎町がどんな町なのか、移住者の暮らしぶり、町のサポート体制についてなど、相談から空き家の紹介、実際に物件を案内して回ることもしています。

菊地さん 最初は漠然と「移住したい」と考えている方も多いので、描いているライフスタイルなど、希望を詳しく聞き出すことを心掛けていますね。

澁谷さん 移住先を比較検討している人に、町を特にアピールするようなことはないですね。今、川崎町に移住したい人が増えているのは、前に移り住んだ人が実感として「いい町だよ」と伝える口コミの力です。逆もしかりで人それぞれなので、よく見せようとか、他の市町村と取り合いみたいなことは意味がない。あくまで自然体で接します。住めば都で、移住先を探す人も実は場所ってどこでもいいんじゃないかと思っています。人との出会いの方が大きい。けど、こればっかりはその人次第で…。

佐藤さん すぐに決めなくてもいいので、どういう人たちが住んでいるか、足を運んでもらうことをおすすめしています。実体験でいうと、イベントに家族連れで来てみたとき、子ども同士が遊んでいる姿を見ると安心するものがありますね。
菊地さん つながりができるかは大事ですね。丁寧にやりとりをする中で本当のニーズを探って、提案できたらいいなと思います。

地道な活動で、空き家バンクの登録件数をアップ。町全体で“迎える”感覚に

町の移住者向けのサポート制度は住宅購入補助がありますが、子育て世代だけが使えるものもあります。仙台市は中学生まで医療費無料ですが、川崎町は高校生まで。これも結構大きいと思います。

澁谷さん 町内の空き家を移住者に貸す・売るため、所有者に空き家バンクへの登録を促すのも仕事。最初は簡単に考えていましたが、空き家はあるのに所有者が分からなかったり、県外にいてすぐつながれなかったりする家が多いんです。それでも、役場が所有者を特定できた後に、こちらから意思確認のためのアンケートを送り、返信があれば詳しく説明する…という流れを作ってからは、登録が増えました。
菊地さん 現在ホームページに公開している、交渉できる物件は20軒ほど。すでに入居しているものも合わせると、100軒近く登録されています。町の広さもありますが県内でもかなり多いのでないでしょうか。移住希望者にとって選択肢が増えています。
澁谷さん 町の人たちに空き家バンクが浸透してきたのを感じます。放置するより住んで管理してもらう家主さん側のメリットが理解され、家主さんから声を掛けてくれることもありました。町内のスーパーやドラッグストアなどにチラシ掲示の協力をお願いしに回るなど、地道な活動が実を結んでいると思います。

それぞれの「この町」。魅力を深堀りして発信していく

―今後の活動予定は? 澁谷さん、菊地さんは地域おこし協力隊としては最後の1年。この町に来て良かったと思えることも振りかえりながらお願いします。

菊地さん 豊かな自然に感謝しながら暮らしたいという私の思いと同じ思いを持ち、その生き方を実践されている先輩たちに出会えたことが本当に良かったです。ここに来たからこそのつながりだと思います。1年前、こちらで出会った農家の方と結婚しました。料理人でもある主人と、農業をベースにして、自然豊かな川崎の魅力を発信していけるような、レストランと花屋を併設したお店が出来たらいいねと話しています。田舎で生まれ育ち、以前は都会に出て行かなければやりたいと思うような仕事はできないと思っていましたが、田舎と都会両方の生活を経験してみて考えが変わりました。今は、田舎だからこそできることもあって、それが自分に合っていたのではないかと感じています。もし同じように悩んでいる若い世代がいたら、そんなことも伝えていけたらいいなと思います。

澁谷さん 昔、日本の沿岸部を車で旅をしていたことがあって、各地で人との温かい出会いがあったんです。サラリーマン時代にもたくさんの人に出会いましたが、なかなか深くは付き合えなかった。ここでは、例えば僕が協力隊を卒業した後のことなどを気にかけ、手を差し伸べようとしてくれる人もいる。その人にとって何の得になるわけじゃないんです。深く人の事情に踏み込まない都会と違って、人の温かさを感じました。過疎の町というと地元愛がないように思ったのですが、その人たちの地域への愛を感じることができて良かったなと思いました。今後は、現在も副業にしているインターネットで田舎と都会を繋ぐ仕事を考えています。

佐藤さん 手を掛けて育てたものを次の人に渡していく…そんな役割を担いたいと思っています。移住をきっかけに始めた副業として、手仕事の日用品を扱う雑貨の店をマルシェに出店しています。国内外問わず扱っていますが、この町のおじいさんの作るかごなど、人となりやものづくりのエピソードなども伝えながら手渡していきたい。みんなが町にもっと誇りを持てるような働きかけが出来るのではないかと思っています。移住して半年ですが、農家の人たちが手を掛けて育てた野菜を生かしきれていないように感じました。将来、ピクルスなどに加工して販売できる加工場もつくってみたいと思っています。

この町での暮らしや人との出会いを楽しみながら、自然体で取り組む3人。それぞれが見出す「この町だからこそ」の価値に期待が高まります。

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