MIYAGI

INTERVIEW

先輩移住者インタビュー

掲載日:2021年10月14日
更新日:2023年2月21日

栗原市

仙台市からUターンし、家業を継承。栗原市の“まちの食堂”で、仕事と子育てを両立する。/鈴木凱弥さん

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鈴木凱弥さん

仙台の料亭を退職し栗原市の家業を継いだ鈴木さんは、100年以上続く屋号「まるよ」の8代目として、大衆食堂の運営に従事。前職で培った日本料理の経験や、自身で運用するSNSでの発信を活かし、築館地区の「まるよ食堂」に新たな風を吹き込んでいます。また、奥さまと共に、二児の子育てにも奮闘中。都会での生活を離れ、Uターンして仕事と子育てを両立する鈴木さんにお話を伺いました。

進学を機に仙台市へ。日本料理の腕を磨く

鈴木さんは、高校卒業を機に栗原市を離れ、仙台市の専門学校で料理を学びました。「この『まるよ食堂』を継ごうと思っていたのは、仙台に行く前からですね。僕が長男だし、小さい頃からずっと、祖母や母が食堂を切り盛りする姿を見てきました」と、鈴木さんには物心ついたときから家業を継ぐ意識があったそうです。

専門学校時代には、実務経験を積むためにアルバイトとして料亭の日本料理部門へ。それまでは中華料理が好きだったそうですが、日本料理の“おもてなし”の精神に惚れ込むと、専門学校を卒業した後は同社へ正社員として就職。鈴木さんは「11年ほど働きましたね。食材の下処理や調理環境の整備などといった下積み時代など正直しんどい時期もありましたが、先輩や後輩と良い関係を築くことができたので、続けられました」と振り返ります。また「やっぱり誰かに喜んでもらえるのが好きなんですかね」と、自身の性格についても話してくれました。

その仙台での生活では、奥さまとも出会い、子どもも生まれ、多忙ながらも充実した生活を送っていたそうです。

祖母を引退させるべく、Uターンし家業を継承

しかし、2020年の夏が終わる頃、「まるよ食堂」で働いていた祖母が体調を崩したことをきっかけに、鈴木さんの中で栗原市へUターンするイメージが鮮明になったと言います。
「祖母は夏バテみたいな感じで、1ヶ月ほど入院もしました。それで『僕が栗原に帰ることで祖母を引退させてあげよう』となったんです」と、当時の事情を教えてくれました。新型コロナウイルスの影響でなかなか事態がスムーズに進まないこともあったようですが、2021年2月に栗原市へUターン。鈴木さんは高校時代以来となる故郷の地で、仕事と二児の子育てに奮闘しています。

最初は反対していた奥さまですが…

とはいえ、移住する前は、奥さまから反対を受けたそうです。
「仙台での暮らしも気に入っていましたし、仕事も頑張りたい時期だったので、移住には抵抗があったようです。金銭面での不安ももちろんありました。僕はなじみある土地ですが、妻は全く知らない土地ですからね」と、鈴木さんは話します。

ただ、移住してからは徐々に奥さまも栗原での生活に慣れてきたそうで、現在は仙台市の会社に通いながらも、主にHP制作などITの面で家業をサポート。「こっちに来ることは100パーセント本望ではなかったらしいんですが、妻は『僕が活き活きと仕事をしていて、その姿を見られるだけで充分』と言ってくれて。ほんと、泣かせてくれますよね(笑)」と、鈴木さんは照れながらも心温まるエピソードを教えてくれました。

8代目として、そして父として

鈴木さんが8代目としてバトンを受け継いだ「まるよ」は、栗原市築館地区で100年以上続く屋号。これまで蚕業や魚の仲卸業を経て、現在の飲食業へとかたちを変えてきました。そんな「まるよ食堂」の名物は、大きなイカ天がのった天ぷら中華。今も昔も、地域の方々に愛され続ける一品です。
鈴木さんは、これまでの日本料理の経験を活かして新たなメニューを絶賛提供中。特に、ふんわりと仕上げた出汁が香る「たまご焼き」は、新たな名物として、たちまち話題となりました。
また、鈴木さん自身が頻繁に更新するSNSでは、料理やお酒の写真はもちろん、仕入れや仕込みの様子など“食堂の日常”も発信。時には調理の様子を動画で掲載するなど、持ち前のサービス精神で市外からのお客様も増えたと言います。

そして、移住によって子育ての面でも大きな変化があったそう。「仙台にいた時は仕事に追われる日々でしたが、こっちに来て自営業になってからは、多少時間の融通が効くようになって。毎朝ごはんを食べさせて保育園へ送り迎えをして、正直『こんなに子育てできるんだ』と驚いている自分もいます」と鈴木さん。「料理人はあまり時間が取れなくて、子育てに携われない人も少なくありませんが、今後も妻と協力しながら仕事との両立にチャレンジし続けたいです」と意気込みを示しました。

栗原の食材を活かして、地域活性化に貢献する

鈴木さんは今後、“まちの食堂”として地域に根付く「まるよ食堂」を通して、栗原市の活性化を目標の一つに掲げています。「普段の食材は、基本的に栗原の産地直売所で仕入れています。食材を買いながらその日のメニューを考えることも多く、常にこの地域を盛り上げたいという気持ちがありますね。もちろん仙台の方が品揃えは良いかもしれませんが、今は地域の生産者さんに貢献したい気持ちが強いです」と、並々ならぬ想いを口にしてくれました。

また、1人の父親としても「自分の仕事と子育ての両立というチャレンジによって、栗原では子育てにも力を注ぎながら暮らしていけることを体現していきたいです」と語った鈴木さん。柔らかな眼差しの中には、地元の栗原市での未来を見据える、確かな力強さが込もっていました。

(2021.9)

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