IYAGI
INTERVIEW
先輩移住者インタビュー
掲載日:2025年9月4日
更新日:2025年9月4日

涌谷町
涌谷町を子どもたちがチャレンジできる町にしたい/丸井陽介さん
- 地域おこし協力隊
- 地域づくり・交流
丸井陽介さん

日本で最初の産金地として知られる涌谷町は「お城と桜」をシンボルとした城下町風情が残る町です。町内を少し歩けば広大な田園風景を観ることができる県内でも有名な米どころでもあります。また涌谷城址を背に流れる江合川の佇まいは見ごたえのある風景の一つです。
兵庫県ご出身の丸井さんは涌谷町地域おこし協力隊に着任して2年目。
地元涌谷町の中高生に寄り添った“居場所づくり”などの協力隊活動のかたわら、学習塾「マル塾」も運営。自身が培ってきた数々の旅の経験や、SNSでの情報発信を通して涌谷町に新風を巻き起こしています。
今回は丸井さんが運営する、中高生のための居場所づくりの場“YORIMICHI”の拠点としている「ゲストハウスあんだあも」にお邪魔してインタビューしてきました。

児童養護施設の子どもたちの声を胸に秘め
「前職では北海道にいまして、公設民営塾に勤務していました。子どもたちがほぼ無料で通える学習塾なんです」と、現在の活動に繋がる経緯を丁寧に話し始める丸井さん。当時は児童養護施設の子どもたちと関わる機会が多く、心を通わせるために懐に入った語り合いを大切にしてきたとのこと。

旅が大好きで47都道府県全てを周り、これまでに訪れた国は26ヶ国にもおよぶという丸井さんは、旅の経験や見てきた事を頻繁に子どもたちに話してきたそうです。「旅の話をすると自分たちも行きたい!って言うんですよ。この子たちがいろいろな世界を見て、『これだったら自分でも頑張れる』と思ってもらいたいというのがあって」と、その頃を回想する丸井さん。当時は何とかその子たちを旅に連れて行ってあげたいと試行錯誤したそうですが「だったら自分で事業を立ち上げるしかないなと。その上でそういう子どもたちに様々な経験をしてもらいたいと考えたんです」と、涌谷町への移住を果たす前に志した学習塾の立ち上げについて振り返ってくれました。

そのために選んだ自立の道
丸井さんが児童養護施設の子どもたちと触れ合う中で強く感じたのが『社会との繋がりの薄さ』だったのだそうです。「そういう子たちは、一旦は学校や社会に出ても馴染めずに、残念なことにドロップアウトしてしまうケースもあるんですよね」と、その話しぶりからはしっかりと寄り添ってきたゆえの経験もうかがえます。

「仲間と一緒にツアーに出かければ、そこで気の合う人と出会えたりする可能性もありますよね、そうなればちょっとした相談相手が出来たりして…」と、その当時構想していた社会教育のメリットを次々と語ってくれました。
そんな丸井さんは現在、涌谷町に移住を果たし涌谷町地域おこし協力隊の活動に軸足を置きながら、副業として学習塾「マル塾」の運営も両立。協力隊の任期はあと1年と半年ほどですが卒業後のプランもしっかり見据えた活動にも余念がありません。丸井さんの提案が採用された「ふるさとワーキングホリデー」の切り盛りのほか、中高生の居場所“YORIMICHI”も絶賛運営中、まさに社会教育の一端となる活動を展開されています。

直感的に「肌に合う」と思った涌谷町
涌谷町に来たのは2024年の4月こと。
地域おこし協力隊の活動先として、いくつかの自治体を巡っていた中で、涌谷町で発信していた地域おこし協力隊の“フリーミッション募集”が眼にとまるとすぐさまアプローチ。町の担当者の手厚い対応もあり涌谷町への移住を決めたそうです。

「担当者の涌谷町役場企画財政課の金野さんに、過去の協力隊の方に会わせていただいたり、町の中をいろいろと案内してもらったりして、涌谷町には良い人もいるし肌に合う!と思い決めました」と、金野さんへの感謝の気持ちも示す丸井さん。他にも、住居として一軒家を借りれる事や、ゲストハウス(あんだあも)が空いていて活動の拠点として利用できるというのも移住を決断するにあたっては大きな後押しになったそうです。

金野主査ご自身もUターン移住者。2013年に仙台市内から地元涌谷町に戻り町職員に転身されました。現在は地域おこし協力隊や広報などを担当し、ご自身の経験も活かしながら移住者に寄り添った細やかな対応をされています。丸井さんをはじめとする涌谷町の移住者とは深い信頼関係で結ばれていて、丸井さん曰く「金野さんが居なかったら今が無い」と言える存在なのだそうです。
きっかけはフリーミッション
取材に同席していただいた金野主査にフリーミッションについてお伺いしました。

金野主査は「一般的な例としては『〇〇の分野で協力隊員を募集します』といったものが多いと思うのですが、涌谷町ではそれにとらわれず隊員のほうから『こういった課題を自分の得意分野を活かして解決します』みたいな逆提案をいただくケースもあるんです」と、移住者目線に立ったフリーミッションの柔軟性を説明。

「丸井さんからは『ふるさとワーキングホリデー』をやってみたいという提案をいただきまして、その企画運営を今年度の協力隊の活動の一環にして着任していただきました」また、世代を問わず幅広い年齢層の人たちとの交流を深める丸井さんに対しては「普段、中高生との交流が多いのですが、その親御さんたちとのコミュニケーションもとても良くとれていて、そういう方たちも丸井さんと交流する事でエネルギーをもらっていると思うんですよ」と、涌谷町の人たちに積極的に交流し馴染んでいくコミュニケーション力にも一目置いた様子。
大学生の頃から多くの国々を巡って来た丸井さんは、その中でも東南アジアのある国での体験と眼にしたものに強く心を打たれたといいます。「自分が生きている世界はすごく平和で、どれだけ恵まれている事か」を実感したのだそうです。
また、国内の旅先でも地方の方々に教育についての話を聞く機会も多くあり、『都会と地方の選択肢の格差』を知り「足りていない地方で自分が出来ることを届けていきたい」と考える様になったと振り返ってくれました。

「20代前半の人たちとも交流を図っていて、『涌谷町のために何かをやりたい』みたいなものを寄り添い一緒に考えて支援する取り組みもされているんです。その様な私たち行政ではなかなか出来ないことを実践してもらっていて本当にありがたいですね」と金野主査。「他にも新しい“まちづくり”や“郷土づくり”にかかわる活動も若い人たちと一緒にやられていているのですが、それらは丸井さんとしては、社会教育もテーマにした行動なのだと思いますよ。本当にありがたいです!」と並々ならぬ敬意も示しました。

とても嬉しい「涌谷あるある」
丸井さんが涌谷が好きな理由の一つに「いつも気にかけてもらえてる感」があるといいます。
「町内を歩いていると、必ずと言っても良いほど誰かに声を掛けられるんです『最近どうですか?』とか『この前ランニングしてたでしょ』なんて。すごく気にかけてもらっているんだなと感じます」と嬉しそう。地元の方から涌谷で採れた野菜をいただく事も多いそうですが「これがまた味が濃くて美味しいんです!」と涌谷産の野菜に太鼓判。
金野主査も「丸井さんは、その日の協力隊活動が終わると役場に戻ってくるのですが、その時は結構な確率で野菜とかが入った袋を下げて帰ってきますね(笑)」と、町のコミュニティの良さだけではなく丸井さんの人柄の良さも強調します。

「野菜などが玄関に置いてあるんですよ、名前も書いてなくて。これは涌谷あるあるなんですが(笑)。誰だろうって思って何人かの人に電話するんですが、結局は誰だか解からなくて。忘れたころに“お茶っこ飲み”で話していると『あの白菜なにに料理した?』なんて聞かれたりして『あなただったんですね(笑)』って、こういうのが結構あるんですよね」と、嬉しかったエピソードを面白おかしく披露してくれた丸井さんでした。
この町を「離れたくない理由」がどんどん増え続けている
この日、丸井さんが身にまとっていた涌谷町のロゴが入るポロシャツに「涌谷愛」が溢れます。
これは町の公認ユニフォームとしてクールビズ用に作ったもの。ロゴデザインは昨年インタビューに登場いただいた丹治さんが手がけたそうです。

涌谷町の人も町も大好きだという丸井さん、今では地元の中高生のみならずご高齢の方々にも「まるちゃん」と呼ばれすっかり慣れ親しまれています。

地域おこし協力隊を卒業したあとのビジョンをお聞きすると「僕の場合、未来のありたい姿ばかりに固執してしまうと、自分で道を狭めてしまう気がするんです」と、自身の性格にも触れながら「この涌谷の人たち、特に若い人たちと何かを一緒にやればやるほど、ここから離れたくないという感覚になっていくんですよ。若い人たちとご飯を食べながら『こういうことやりたいね』って話す時間が僕はすごく楽しくて」と充実ぶりが伺えます。
協力隊卒業後も、学習塾にゲストハウスの運営や中高生の居場所づくりなど、これまで通り続けていくという丸井さんは「その瞬間瞬間でこれがベストだなと思う事を、迷いつつ、選びながら進めていくと思います。ただ涌谷町にそのまま住むという事だけは決めています!」と、小気味よい言葉で締めくくってくれました。

プライベートでは、「今は“旅の本”を作るのが楽しくてしょうがない」という丸井さん。
なんでも年内完成予定で、旅の熱狂を伝えるために旅先で心が動いた瞬間などを綴っているとのこと。「毎日、活動や塾が終わってから夜な夜な考えたり記事書いたりするのが楽しいですね」と最後まで笑顔を絶やさない丸井さんでした。
丸井さんのご活躍ぶりはこちらからもご覧いただけます。
Instagram
https://www.instagram.com/wky_2426/
ふるさとワーキングホリデーポータルサイト
https://furusato-work.jp/worklist/works-36523/
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